対馬の山々は、信仰・生活・自然資源の場として地域の基盤を支えてきたが、近年は下層植生の衰退、気候変動による豪雨の増加、さらには維持管理の担い手不足等により、登山道の荒廃が進行しています。特に白嶽においては、観光利用の増加と維持管理体制の未整備が課題として顕在化しています。こうした状況を受け、当協議会では、将来的な登山道維持管理体制の構築を見据え、その中核となる技術作業員の育成を目的として「対馬の山をなおす 技術作業員養成講座」を実施しました。
日程:令和8年2月2日(月)〜6日(金)(5日間) 9:30~16:30
会場:白嶽登山道、美津島文化会館
受講生:2名
(チェーンソーの「伐木等の業務に係る特別教育」を受講済みで、自然保全に関心のある方)
講師には、南アルプスにおいて実績を有する北杜山守隊から派遣いただき、フィールド観察の仕方(登山道荒廃を探る視点)、登山道整備の基本理念などを実践と座学を交え学びました。
技術面においては、荒廃原因の推定方法(水の流れや植生、登山者の行動を読み解く)、修繕技術(排水処理、ステップの組み方、石組み、緩衝機能の設置など)、工具の使い方などを学びました。

管理体制面においては、持続可能な整備体制のために必要な視点(人・モノ・金の循環を考える、ボランティア依存からの脱却など)を学びました。

山の利用ルールを定めるだけでは環境保全は実現しません。実際の整備を担う技術人材と、その意義を伝えるガイド人材、そして管理体制の構築を担う事務局の三本の柱が必要です。本講座はその中の「技術人材の育成」として重要な一歩でした。今後、登山道整備を単発事業で終わらせるのではなく、「山を守ることを仕事にする」仕組みへと発展させることが大切になっていきます。

他地域の事例を参考に、対馬における最適な登山道管理体制を今後も検討していきたいと思います。